富山大学 医学部 学部案内2025
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 私は滋賀県の高校を卒業した後,1996年に富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科に入学しました。身内もおらず当初は杉谷キャンパス周辺に住むのは不安でした。しかし杉谷キャンパスでは同級生が近くに住んでいることが多く,また部活動も盛んで多くの先輩後輩ができ,安心して学生生活を送ることができました。この縦(先輩後輩)と横(同級生)の関係は試験勉強の助言だけにとどまらず,卒業後の今でも大きな財産となっています。 私は卒業後,内科(消化器科と漢方)医として12年間勤務しました。内科と内視鏡(胃や大腸カメラ)の専門医も取り終えて一人前になったと感じましたが,一つ学び残したことがありました。それは統計でした。統計ができないために学会ではいつも症例報告の発表をしていました。症例報告とは稀な一症例の治療経過を報告するのですが,所見や治療を普遍的なものとして発表するには,多くの症例を集めて統計を使った報告が必要です。そんな時,旧知の先輩や同級生が病院での仕事に加え,大学院に入学して医学博士を取るための研究までしていました。みんな「大変だよ~」と言いながら,実験手技を身に付け,統計を学んで英語の博士論文を仕上げていくのです。皆さんにはまだ想像ができないと思いますが,卒業後に医師の仕事を6~10年程度して,再び学生(大学院生)として学び直すことは大変な気合が必要なのです。しかし先輩や同級生がますます成長していく姿に魅了され,私も大学院で頑張ろうと決意できました。今振り返ってもあの時に統計学を学んで,人生の幅を広げておいてよかったと思います。富山大学の勤勉な風土,周囲の人達に恵まれたと感謝しています。 現在の私は,社会医学で統計を駆使する「疫学」研究をしています。具体的には富山県でどの程度の児童がネット依存なのか(有病率),またネット依存にかかりやすい子はどんな生活,家庭環境なのか(リスク因子)などの分析です。私はこの関係から小中学校で児童の前で話す機会が多いのですが,ほとんどの子が静かに話を聞くことができます。富山は県自体が非常に勤勉だなと実感します。 是非皆さんも富山大学に入学して,県と富山大学がもつ勤勉な風土を感じてみてください。人生を通して良い影響があります。もちろん部活など勉強以外にもたくさん学べることもあります。皆さんと一緒に過ごせることを楽しみにしています。富山大学医学部疫学?健康政策学講座准教授山田 正明(2002年 卒業)現在は地域医療や後進の育成に努めながら,産婦人科医としても患者さんをサポートしています。私自身のキャリア形成もまだまだこれからです。ぜひ,富山大学で素晴らしい仲間に出会い,たくさんの経験を積み重ねてください。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。富山大学附属病院地域医療総合支援学講座客員助教竹村 京子(2009年 卒業)こんにちは。私は富山県立高岡高校を卒業し,2003年に富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科に入学しました。子供たちが元気に育つサポートをしたいと思い,医師を目指しました。いわゆる勉強は苦手でしたが,良き友人,先輩に恵まれ無事卒業することができました。試験前に友達とチュートリアル室にお菓子を持ち込み,籠って勉強したことは,振り返れば楽しい思い出として残っています。卒業後は,信頼する先輩が勤務する病院で2年間の臨床研修を行いました。そこでも,支えてくれる仲間と出会い,多くの学びを得ました。医学部入学当初は小児科医を目指していたものの,様々な診療科で臨床実習や臨床研修を重ねるうちに,自分の手でその場で病巣を取り除くことのできる手術の魅力に取りつかれました。現在は産婦人科医となり,婦人科腫瘍を専攻しています。手術の技術を高め,薬物療法や放射線治療の知識を蓄え,少しでも患者さんが元気に過ごせる日が長くなるよう診療を行っています。小児科医になりたいと思ったときに,患者さんに寄り添いサポートしたいと考えていましたが,それは産婦人科医であっても変わらず念頭に置いています。医師になってからも多くの困難や不安に直面することがありますが,出会った仲間の存在が大きな支えとなっています。これまで臨床一筋でスキルアップしてきましたが,私の医師人生は転換期を迎えます。医師10年目で富山県の寄附講座である「地域医療総合支援学講座」に配属されました。富山県における医療提供体制の充足を目的とした講座であり,私はその中でも特に,将来富山県の医療を支える学生のキャリア形成支援を担当することになりました。当初は,学生の皆さんが将来地域で活躍できるように先輩医師の講演やハンズオンセミナーなどを行ってきました。しかし,実際に地域で活躍する医師になることができたのか,皆にとってよいことをしているのか疑問が残りました。私自身も富山で育った医師であり,学生の皆さんには思い入れがあります。しかし,気持ちだけでは最適な支援に結びつくとは限りません。私は教育について学び研究する必要性に気づき,医師14年目半ばで大学院に入学し医学教育学を専攻することにしました。今から大学院!?と言われますが,「四十(六十)の手習い」と思い頑張っています。臨床では患者数や生存期間など数を扱う量的研究が大半を占めますが,大学院入学をきっかけに,インタビューなどの主観的データをもとに心理的傾向や文化など数字で表すことができないデータを分析する質的研究という方法に出会うことができました。学生の皆さんが自ら富山の医療を支えるために頑張りたいと思えるキャリア形成支援を行うために,ぜひ学ぶべき研究手法だと思っています。32富山の勤勉な風土が育ててくれます医師を目指す皆さんへ医学科先輩からのメッセージ

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