伝統医学は人類が自然の摂理と天然の恵みを巧みに利用し、疾病の予防、治療にあたってきた経験知の集積です。和漢医薬学総合研究所は、現代の先端科学技術を駆使して、和漢薬をはじめとする伝統医学や伝統薬物を科学的に研究し、東洋医薬学と西洋医薬学の融合を図り、新しい医薬学体系の構築と自然環境の保全を含めた全人的医療の構築に貢献することを使命として、①天然薬物資源の確保と保全、②和漢医薬学の基礎研究の推進と東西医薬学の融合、③漢方医学における診断治療体系の客観化と人材の育成、④伝統医薬学研究の中核的情報発信拠点の形成 の重点課題を設けて、研究を推進してきました。 近年、世界的に問題になっている高齢化の進行、多因子性疾患の増加、及び天然資源の枯渇に鑑み、本研究所は新たに重点研究プロジェクトを定め、推進し、その成果を社会実装するための組織へと2020年4月に改組しました。研究開発部門では5分野(資源開発、病態制御、複雑系解析、未病、国際共同研究)が連携し、特に臨床研究への橋渡しを目指した基礎研究や新規メカニズムに基づく創薬基盤の構築を目指した研究を行います。さらに、臨床応用、産官学連携の2部門では、附属病院や企業と協力して臨床試験や医薬品候補の発掘を推進します。加えて、漢方医学教育を実践できる教員の育成とその教育研修システムの確立を目的とした和漢医薬教育研修センターを立ち上げました。これらの3部門1センターが互いに連携し、東西医薬学の融合を基盤とした次世代型医療科学を創生して、健康長寿社会の形成に貢献することを目指します。▲ 脈診▲ 夏期セミナーでの丸剤づくりの実習の様子▲ 民族薬物資料館見学の様子国際協力拠点北京大学(中国)チュラロンコン大学(タイ国)カイロ大学(エジプト)南京中医薬大学(中国)15和漢医薬学総合研究所Outline of University of Toyama 2021研究開発部門複雑系解析分野未病分野国際共同研究分野資源開発分野資源科学領域天然物創薬学領域病態制御分野神経機能学領域生体防御学領域臨床応用部門産官学連携部門和漢医薬教育研修センター民族薬物資料館和漢薬データベース
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