抗体を使って病気を治す、抗体で病気の原因を調べる (小澤准教授)/1個のBリンパ球から抗体を作る (岸教授)
掲載内容は当時のものです。
血液中の抗体タンパク質は、ウイルスなどの外敵から身を守るはたらきをします。最近はオプジーボ(がん治療薬)やアクテムラ(関節リウマチ治療薬)など、抗体を使った治療薬が注目を集めています。このような治療薬を作るためには、効果の高い抗体を作ることが必要です。抗体は血液中のBリンパ球が作るのですが、目的の抗体を作るBリンパ球は、10,000個に1個あるかないかで、目的のBリンパ球を見つけ出すのはとても大変でした。
私たちは、Bリンパ球が1個ずつ入る直径15μmの穴が10万個ほど並んだリンパ球チップを使い、目的の抗体を作っているBリンパ球を効率よく見つけ出し、抗体を作る方法、ISAAC法を開発しました。ISAAC法の概略図を図1に示しています。また、リンパ球チップを図2の下の図に示しています。リンパ球チップは2.5cm x 7.5cm程の大きさで、その中の1cm x 1cm内に直径15μmの穴が並んでいます。図2の下の図は、目的のBリンパ球を見つけ出したときの写真です。緑の丸い点はBリンパ球ですが、これらのうち、赤い円の光の中心が、目的の抗体を作っているBリンパ球です。
今までに、ISAAC法を使って、ウイルスの感染を防ぐ抗体(中和抗体)や自分のからだを攻撃してしまう抗体(自己抗体)、またその他の微量な物質を検出する抗体などを健康な人や患者さんの血液から、またウサギなどの動物を使って作り、ウイルス感染に対抗するための研究や、自己免疫病の発症メカニズムを解明するための研究を行っています。今後も社会に有用な抗体を作り、様々な研究を進めていきたいと考えています。
- 教員名/岸 裕幸
- 学部/医学部
- 専門/免疫学
- ウェブサイト/富山大学大学院医学薬学研究部 免疫学講座
- 教員名/小澤 龍彦
- 学部/医学部
- 専門/免疫学、分子生物学、抗体工学
- ウェブサイト/富山大学大学院医学薬学研究部 免疫学講座