はじめに
富山大学は、雄大な立山連峰と深淵な富山湾を望む地にあり、その大自然の循環を享受しながら歴史を紡ぎ、教育研究を通じて地域と世界の発展に寄与してきた。しかし、現在、世界は人類と自然との共生において多くの困難な問題に直面している。人類の持続的発展に貢献し、平和で協同する社会を形成するために、富山大学は、ここに理念と目標を定める。
理念
富山大学は、地域と世界に向かって開かれた大学として、人文社会科学、自然科学、生命科学を総合した特色ある国際水準の教育及び研究を行い、人間尊重の精神を基本に高い使命感と創造力のある人材を育成し、地域と国際社会に貢献するとともに、科学、芸術文化、人間社会と自然環境との調和的発展に寄与する。
目標
Ⅰ 教育 -高い使命感と創造力のある人材の育成-
富山大学は、学生の個性を尊重しつつ人格を陶冶するとともに、倫理観を育み、広い知識と深い専門的学識を教授することにより、「使命感と創造力に富む人材を育成する総合大学」を目指す。
- 学生の主体的な学びを促し、多様な学修ニーズに応え、教育の質を保証するために、教育環境の充実と教育システムの改善を図り、教員の教授能力の不断の向上に努める。
- 学士課程では、教養教育と専門教育を充実し、グローバルな知識基盤社会に貢献できる、豊かな人間性と創造的問題解決能力を持つ人材を育成する。
- 大学院課程では、体系的で高度な専門教育を充実し、現代の多様な課題に果敢に挑戦し解決できる人材を育成する。
Ⅱ 研究 -地域と世界に向けて先端的研究情報の発信-
富山大学は、学問の継承?発展と基礎的な研究を重視するとともに、現代社会の諸問題に積極的に取り組み、融合領域の研究を推進する。また、基礎研究を充実するとともに、「地域と世界に向けて先端的研究情報を発信する総合大学」を目指す。
- 真理を追究する基礎研究を尊び、学問の継承?発展に努めるとともに、地域や地球規模の課題解決、社会変革につながるイノベーションの創出を推進する。
- 先端的な研究環境を整備し、世界的な研究拠点を構築する。
- 世界水準のプロジェクト研究を推進するとともに、研究成果を社会に還元し、世界の持続的な発展に貢献する。また、基礎的?萌芽的な研究を積極的に発掘し、その展開を支援する。
Ⅲ 社会貢献 -地域と国際社会への貢献-
富山大学は、多様な分野からなる総合大学のスケールメリットを活かして、地域社会が抱える多様な問題及び地域を越えたグローバルな課題に取り組み、「地域と国際社会に貢献する総合大学」を目指す。
- 地域社会の教育と文化?芸術の発展に寄与するとともに、地域再興への先導的役割を果たす。
- 地域の特性を活かし、産学官連携を通じて地域産業の活性化を促進する。
- 地域の中核的医療機関としての大学附属病院は、専門性と総合性を併せ持つ質の高い医療を提供するとともに、地域の包括的な医療を牽引する。
- 大学間交流や国際貢献を推進するとともに、環境問題等の現代社会の重要課題に取り組む。
Ⅳ 運営 -透明性の高い大学運営-
富山大学は、教育、研究、社会貢献を積極的に推進するため、「大学運営において高い透明性を持ち、社会に開かれた総合大学」を目指す。
- 国?から負託された国立大学法人であるとの明確な認識のもとに、透明性の高い効率的な大学運営を行い、社会に対する説明責任を果たす。
- 学内外の意見と評価を大学運営に反映し、大学の人材、資金、施設?設備等の資源を最も有効に活用する。
- 組織と構成員は自己点検と自己評価に努め、時代や社会の要請に対応して、改革と改善を果敢に推進する。
- 個人情報の保護に努めつつ、情報公開を積極的に行い、構成員全てが持てる力を充分に発揮できる職場環境を構築する。
国の施策との関係
国立大学法人富山大学は、文部科学大臣が定めた中期目標(6年間において国立大学法人富山大学が達成すべき業務運営に関する目標)に基づき、中期計画(中期目標を達成するための計画)を作成し、文部科学大臣の許可を受けた中期計画の適正かつ確実な実施を図る。